“こっている部分を揉まない”理由とそのメリット・価値について
ある日の昼食。
「そうめんでも茹でようかな」
そうめんを袋から出して茹でようとした瞬間、私の頭に浮かんだこと。
「これ、筋肉みたいだな」
麺を茹でるのを中止して、この記事を書いています。
自分の能力を客観視した際に
「自分は治療に対して全てを注ぎ込まないと到底、治療では戦えない」
約10年前にその様に感じたことから、自らその状況を作り出して今日に至るのですが、そうめんが筋肉に見えてしまうなんて“一人の人間としてこのままで大丈夫なのか“と若干不安を覚えた今日この頃です(笑)
※もちろん、まだまだ全然満足出来ていません。
さて、各筋肉は上記の様な「いくつかの束の様」になってそれぞれ
・二の腕
・太もも
・すね
・ふくらはぎ
などの中に収まっています。
↑中央の「蕎麦」が骨、各束が各筋肉を指しており、(二の腕など)各部分を床に対して平行に輪切りにした断面図だとご理解下さい(笑)
最初に、私はカイロプラクティック という手法を主に用いていますが、カイロプラクティック だけをご提供している訳ではありません。
理由は、
・カイロプラクターとしてだけでなく、治療家として上を目指している。
・カイロプラクティックだけで患者様を改善に導くには自らの力量が不足している。
ことが理由です。
「矯正だけで患者様を改善に導ける」
これはカイロプラクティック の王道・頂点です。
実践できている人は日本全体でも確実に3%もいないので、私は純粋にその人達を尊敬しているし、そこに至る過程を想像しても人間として格好良いと感じています。
ただ、現実的な話をすると
「自分の主義や主張の前に、患者様相手に結果を出すことが最優先」
良い、悪いは別として、私は自らの患者時代の経験からこの様な考えで仕事をしています。
矯正だけで結果が出ないなら、私は迷わず他の方法を選びます。
但し、実際に実践している人がいるのでそれを「カイロプラクティックのせいにはしません」。
現時点で、矯正以外でも補わざるを得ないのなら自らの力不足を受け入れて、(85歳まで現役でやるつもりなので)いづれはそのレベルに到達したいと考えています。
話は逸れましたが、私は状態によっては筋肉の施術も行います。
マッサージはしないのですが、「筋間(筋肉の間)」を緩めることは行う場合があります。
その「筋間」が、冒頭の「各そうめんの束と各そうめんの束の間」に該当します。
右の二の腕で例えると「7つの筋肉」があり、それぞれの筋肉の間が「筋間」に該当します。
筋肉をマッサージするのではなく、筋間を用いる理由は、
・「筋間」は筋膜的な繋がりから全身を考慮するうえで重要な部分であること。
・筋肉と異なり、効果の持続が長期に期待できる。
・各筋肉を緩めた際の筋力低下リスクが少ないこと。
が挙げられます。
多くの症状は、「静止状態での姿勢」「それをベースにした動作時の姿勢(動かし方)」が起因で【僅かな負担が特定の部分に蓄積した結果として症状になっています】。
姿勢・動きを改善することが、【僅かな負担が限局して蓄積しにくい状態を作り出すこと】に繋がります。
その為には
①可動域制限(硬さ)の改善
②安定性の獲得(軟らか過ぎもダメ)
③協調性の獲得(各体のパーツが正常でも連動出来ないと無意味)
を考慮することが、我々の分野において今日では当たり前です。
「一概に軟らかくすれば良い訳でも、筋肉をつけて固めれば良い訳でもない」
それを考慮するには「筋間リリース」の出番が多いと現時点では考えています。
※そこまで目指すかどうかは別として、③は治療家が施すものではなく患者様ご本人が主体的に取り組む必要があります。
「いくらマッサージやストレッチ、トレーニングを受けたり、自分でしても良くならないんです」
この様に伺うこともありますが、言い換えると
「それをしているから良くならない」
とも言える訳です。
だから、その様に思われている方も悲観する必要はありません。
すべきこと、すべきでないことを明確にして実行すれば、大抵の場合には改善の余地があります。
「人間が人間を良くする」
体の成り立ちや日々の生活で置き換えて考えてもその事自体が非現実的でおこがましいと私は思うし、不可能は当然あります。
けど、
「良くなって頂けたと思っていた“そのレベルよりも更に先“があった」
日々、患者様を相手に試行錯誤する中でこういった現実に直面します。
だから、私は細部にこだわる必要を感じるし追求することを止めてはならないと常に自分に発破をかけています。
「どうせ、受け入れるしかないのだろう」
この様に思われている方でも諦めないで頂けたらと思います。
さて、この手法を受けたことがある患者様はお分かりかと思いますが、「押された際には痛くても、その痛さを後に引きずることは無いはず」です。
これは、「各筋肉の境目(筋間)」が分かれば、誰でも簡単に施すことができます。
背骨の正確な矯正に比べたら触診さえ出来れば、その場で誰でも出来る非常に容易な手法です。
但し、「境目(筋間)が分からない」場合にはただのマッサージになってしまう為に前述のメリットを享受することが出来ません。
つまり、「同じ様なことをしても同じ効果は出ません」。
理学療法士という病院のリハビリ業務の方々の資格は別として、それ以外では私の様に国家資格を持っていても「筋肉の触診はほぼ習っていません」。
触り分ける重要性も知らなければ概念もないので、「二の腕をほぐす」「ふくらはぎをほぐす」という大雑把な括りで考えていることが過去の私も含めて多いです。
「二の腕の中のどの筋肉なのか」「ふくらはぎの中のどの筋肉なのか」「どの筋肉同士の境目の更にどこなのか」といった細かなことが触り分けることが出来ないと本来の効果を最大限にご提供することは不可能です。
幸か不幸か、私は自分自身の才能や生まれつきの能力を一切信用していないので、
「自分以外はみんな出来ているのではないか?」
「もしかして、自分に記憶がないだけでみんなは習ったのではないか?」
この様な不安に駆られて学び出したことで、幸運にも今の資格を持ちながらも身に付けることが出来ました。
各勉強会で異なった資格である私とペアになられた方は無知や出来の悪さから,さぞかし散々な1日を送られたことでしょう(笑)
「筋肉の境目を触り分けること」は恐らく一般の方が思われているよりも希少価値が高く、一部の才能がある方を除いて「なんとなく出来るものではありません」。
(もちろん私が凄いのではなく、ただ単に習える場所を探し、繰り返し参加、復習と反復してきたからに過ぎません。)
見分けられないならばデメリットも考慮するとやらない方が経験上マシになりますのでご注意下さい。
次に、カイロプラクティック では、24個ある背骨と骨盤のズレを見て、それを正すことになります。(もちろん手足、顎もあります)
例えば↓の部分で輪切りにして、上から見たとします。
逆三角形状のものが首の骨(頸椎)です。
その骨と筋肉の位置関係としては上記の様な感じになります。
カイロプラクティック では、各骨を↓の様にズレていないかを(これはズレの1つです)見ていきます。
「筋肉のこりなのに、骨を矯正するのですか??」
年に1回位、この様に伺うことがあります。
骨がこの様に「回旋したら前述の筋肉の左右のテンション、張り具合が変わる」のがこの図を見たらお分かりかと思います。
また、背骨の中には脊髄が通り、その脇には血管や神経 が出入りしています。
当たり前ですが、筋肉は単独では動かないし、硬くも軟らかくもなれません。
(スーパーで売っている肉を見ても明らかです)
そこに神経が繋がり、神経に命令を伝える脳が存在するから筋肉が動くし硬くも軟らかくもなれる訳です。
だから、神経を無視しては体の状態改善は望めないし、神経を正す一環として背骨の矯正がある訳です。
↓これは、前述の「ズレた骨」に脊髄と神経をつけたものです。
・関節(手足などの)
・筋肉(手足や腰や首・背中などの)
・皮膚
の情報は「背骨の後ろ側にある脊髄へと伝えられます」。
それらは脊髄から然るべき部分(脳や小脳など)へと情報を伝えます。
※体の上の部分(脳など)へと伝わるので「上行性」と言います。
然るべき部分で指令を受けた情報は、今度は「下降性」に脊髄へと戻ってきます。
そして、「背骨の前側にある脊髄から」背骨の外に出て
・関節
・筋肉
・皮膚
へと情報を伝えます。
具体的には
「皮膚に傷が出来た」
「関節がズレた」
「筋肉が伸ばされた・縮んだ」
などの情報が上行性に伝わり、
「皮膚の傷口を治す為の指令」
「関節を正す為の指令」
「筋肉を正常にする指令」
が下降性に伝わることで私達の体は、「なるべく正常に戻そう、維持しようとします」。
これが簡単に言うと「自然治癒力」です。
それが、↓の様に「ズレた背骨」では、正しく行われな可能性があります。
理由は、脊髄に出入りしている神経の通りを妨げてしまうからです。
カイロプラクティックでは、これを「サブラクゼーション」と言い、特別視しています。
サブラクゼーションを取り除くことがカイロプラクティック であり、カイロプラクティック の独自性がそこにあります。
背骨を正すだけで、
・皮膚のコンディションが良くなる。
・咳喘息のような症状が出なくなる。
・不妊の問題が解決する。
など、肩こり・腰痛・神経痛以外にも効果をご体感頂けることがあるのは、この為です。
但し、「正確に」
・問題の場所を把握する知識
・問題を解決する技術
がなければ「整体になってしまう」訳です。
【自然治癒力が最大限に発揮出来うる状態にすることが出来るか否か】
薬やメスを使うことは当然出来ないので、この状態にして、それを維持出来るようにすることが極論、私の仕事になります。
従って、体を正常にしても即、結果(症状の改善)に繋がらない場合もあります。
それをこの検査機器で、判断します。
「時間が経てば結果に繋がる状態なのか」
「時間が経っても改善が期待出来ない状態なのか」
この1つの指標として、この検査を行います。
【ただ骨を動かす“だけ“で結果に繋げることが出来るのかどうか】
これがカイロプラクティックの難しいところです。
【ただズレを正す、矯正するだけ】
というのは、数年やれば難しくありません。
また、
体には、「自律神経」という字の通り“自ら律している神経“、即ち、我々が無意識下に行っている体の機能を担っている神経があります。
・交感神経(主に機能を促進する役目)
・副交感神経(主に機能を抑制する役目)
の2種類を自律神経と言います。
体のどの役目も、「行き過ぎたら異常」になります。
その微妙な微調整を行う自律神経も背骨と深い関係があります。
↑の図を見て頂ければ一目瞭然ですが、脊髄から関節・筋肉・皮膚へと向かう過程で交感神経とも関わることになります。
※交感神経は「背中」、副交感神経は「首の上部分」と「骨盤」でこのように存在しています。
つまり、背骨を正すことで自律神経に働きかけることも出来ます。
※当たり前ですが、背骨に原因があるものに限ります。
やや、複雑な内容だったかもしれませんが、
「骨」「筋肉」「神経」「血管(血流)」。
これらは、どれも関係し合っているものです。
「いづれかが単体で悪い場合」には、それだけを考慮すれば良いのですが、【原因を各症状から決めつけると】難渋することがあります。
「曖昧な知識を基にした曖昧な(どこかどう悪いかの)判断では、曖昧な施術にならざるを得ません」
「曖昧な施術では、曖昧な結果になる可能性が高い」
そうならない様に足元を見つめ、覚悟を決めてもっと精進しないと!
と、そうめん片手に思ったというご報告?でした(笑)
もちろん、「何を選ぶのか?」は私が決めることではありません。
ただ、選択して頂くうえで情報が無ければ選択のしようがないと思います。
「知っていれば違った選択をしたのに・・・」
患者時代の私がそう感じ、その様なケースを一人でも減らすことを目指してこの仕事を志し今に至ります。
また、私はこの仕事に於いて、後輩や同志的な人を雇ったり直接指導することに対してイマイチ自分の中で価値を見い出せていませんし、適正に乏しいと思います。
その反面、「自分さえ良ければいいのか」と疑念を感じてしまう自分もいます。
「自分にできることは何だろう」
今現在の状況になった時のことを18歳から悩みながらも最低限、今日まで心掛けて来たことは
「柄澤は環境的・物理的に恵まれていたから綺麗事が言えて、自分はそうでないから」
そう思われない様な選択と行動をすることです。
それが正解か間違いかは私には分かりませんが、私の過程やこれからが、同じ仕事を同じ様な気持ちで志す方の何かお役に立てて、それが将来的に「一人でも多くの患者様のお力になる」ことに繋がれば本望だと考えています。
その一環として、私は自分の考えや方針を明確にする為に発信しています。
以上、何かの参考になれたら嬉しいです!
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