小指側の手首の痛み(TFCC損傷・尺骨突き上げ症候群・尺側手根伸筋腱鞘炎)について
手首を始め、あなたが望むような症状の改善を得る為には「専門家の正確な病態の把握」が必要です。とはいえ、「正確に行われなくても自然治癒力で時間が解決してくれる」ものも一定数存在します。逆に、「正確でないから改善しないだけ」のものも一定数存在します。今回の記事で「手首の小指側だけでも様々な病態が存在し、改善課程の違い」をご理解頂けたら幸いです。
※親指側の痛みについては親指の腱鞘炎(de Quervain disease。)と指の腱鞘炎(ばね指)をお読み下さい。
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手首の小指側の痛みで考えられる状態
大きく分けて3つ考えられます。
・TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)
・尺骨突き上げ症候群
・尺側手根伸筋腱鞘炎
というものです。
TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷とは
上図の青丸部分に存在しているのがTFCC(三角線維軟骨複合体)というものです。この部分を傷めたものを「TFCC損傷」「三角線維軟骨複合体損傷」と呼んでいます。これは、文字通り「ケガ」「損傷」です。従って、「施術によってその場で改善することは期待できません。」それを修復する為の期間や負担を減らす為の過程が必要不可欠になります。当然、新たな負担を掛け続けた場合、修復が遅れる、修復出来ないこともあります。
TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷の症状
・手をついて荷重を掛けると痛い。
・手首を捻る(回内・回外する)と痛い。
※↓手の甲を上にすることを「回内」、手の平を上にすることを「回外」と言います。
TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷の原因
原因は「圧迫」です。
具体的に言うと、
・転んで手をついた際に瞬間的に圧迫を強いられた。
・バイクや自転車などのハンドルを握っている際に回内を強いられて圧迫された。
・床や浴槽などの拭き掃除(右手ならば左方向から右への拭き掃除で左手ならば逆の動き)で圧迫を強いられた。
といったようなケースです。
TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷を治す為にあなたが出来ること
まず、考えられる原因を避けることです。転倒などが原因であれば、(転倒は毎日するものではないので)特別注意が必要ないと思います。逆に、毎日行うような動作が原因と考えられる場合には、その動作の見直しが不可欠です。理由は、前述の通り「損傷」なので、負担を掛け続けたら治らないからです。
◎バイクや自転車が原因
→グリップの太さを変える。
→サドルとハンドルの相対的な位置関係を変える。
◎拭き掃除が原因
→拭く方向を考慮する。
→道具を使う。
例えばですが、このような方法をとれば現実的には可能だと考えます。
TFCC(三角線維軟骨複合体)の治療
TFCC損傷の場合には、「TFCCは元々血流が悪い部分」であり、修復するための栄養が届きにくい事から改善に時間を要します。改善が乏しい場合には手術で、強制的に修復を行うケースもあります。「手術を避けるために治療として何をするべきか??」という視点から考えると「圧迫を避ける」ことが重要で、具体的には「手首の回内」に注意を向けることが大切です。
回内が強いられる体の要因は以下の通りです。
・回外の動きが物理的に硬い。
・体幹の弱さや巻き肩による「手押し」による過度な負担。
従って、物理的に硬いならば「軟らかく」する。体幹が弱いならば「強くなれるように」する。巻き肩ならば「巻き肩を正すようにする」。サポーターやギプスを用いて、強制的に回内を制限することなども治療になります。
尺骨突き上げ症候群について
尺骨という骨が、指の方に押し寄せてくることでTFCCを圧迫してしまう病態を、尺骨突き上げ症候群と言います。
尺骨は、肘から伸びている骨です。二の腕との関節(腕尺関節)と隣の橈骨との関節(赤丸の遠位橈尺関節)、図にはないけど近位橈尺関節という3つの関節で位置関係を保っています。
つまり、この3つの関節のズレや異常が尺骨突き上げ症候群の一因になります。これは、背骨や他の関節同様に矯正によって位置関係を正し、それを保持することで改善が期待できます。稀に、尺骨の長さが元々長い方も存在します。(その場合には、改善が困難)「尺骨突き上げ症候群は、TFCC損傷の一因」とも言えます。
尺側手根伸筋腱鞘炎について
TFCCよりも表層にあるのが、尺側手根伸筋という聞きなれない名前の筋肉です。字の通り、「手の尺側(小指側)を伸ばす筋肉」でその筋肉を包んでいる鞘である腱鞘が炎症をおこしたもので「尺側手根伸筋腱鞘炎」になります。
尺側手根伸筋腱鞘炎の症状
洗髪や習字など脇を開いて手を使う動作において手を使うと痛むことが多いです。また、回内から回外をした瞬間に痛みが出ることも多いです。
尺側手根伸筋腱鞘炎の原因
・痛みのある側に体が傾いている。(右手が痛ければ右側に体が傾いている)
↓以下の様に体が右に傾いていれば右手の尺側手根伸筋腱鞘炎になる一因になります。
・肩関節の過去のケガや四十肩や五十肩などにより、痛みのある側の「肩の外旋」という動きが物理的に硬い。
※↓以下の動きが「肩の外旋」です。
反対側と比べて、肩の外旋が硬い方に多いのが「背中の下の方が掻けない」「背中の下の方に手が届かない」というケースが多いです。
尺側手根伸筋腱鞘炎を治す為にあなたが出来ること
・自分の体が傾いていないかチェックする。
・痛みのある側の肩の外旋の可動域をチェックする。
ことがまず必要です。なぜなら、現状を正確に知らなくては改善法や対策が分からないからです。ご自分で分かる方はご自分で、分からない方は専門家の判断に委ねることをお勧め致します。通院先を検討される方は以下の記事もご参考までにお読み下さい。
尺側手根伸筋腱鞘炎の治療
腱鞘炎なので、炎症の鎮静化が最も重要です。炎症の鎮静化と共に、「炎症の原因である」
・体の傾き
・肩の外旋可動域の改善
について必要があれば行います。理由は、体が傾いていると(筋膜の繋がりからみて)尺側手根伸筋が常に引っ張られれる為です。肩の外旋の硬さについては、【肩の外旋が硬い = 手首に回外が強いられる】からです。
身体の構造上、回外の状態では尺側手根伸筋に掛かる負担が大きくなります。従って、これらの改善を求めることが治療にるなると考えます。是非、あなたやあなたのご家族・ご友人など周囲に目黒区祐天寺近郊でお困りの方がいましたら参考にして頂けたら嬉しく思います。
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