膝の前側や内側の痛み(変形性膝関節症)
今回は、膝の痛みの中でも特に「膝の前側・内側の痛み(変形性膝関節症)」について書きました。
運動をよくする10代から変形が起こり得る40代以降の方まで広く該当する内容です。
こちらの記事と併せてご一読下さい。
成長期の運動をしている子供の膝前面の痛み(オスグッド・シュラッター病)
この記事は、およそ2分で読むことが出来ます。
膝の構造について
膝は、太ももの骨とすねの骨から成っています。
太ももとすねの間には、半月板というクッションがあります。
また、太ももとすねの両方を繋ぐものとして
・内側と外側のじん帯
・前後の十字じん帯
というものもあります。
更に、太ももの骨の上に乗っているような形で『お皿』があります。
これが基本的な構造です。
ここに筋肉が絡んできます。
膝の前側の痛み
階段を上る際にお皿の上が痛い。
階段を下る際にお皿の下が痛い。
しゃがむ際に膝の前側が痛い。
これらは、大半の場合「お皿(膝蓋骨)と太ももの骨からなる関節」の問題です。
膝前側の痛みは「常に、ではない」けど「特定の動きの際に」痛みが出る事が多いです。
膝の曲げ伸ばしによって、お皿(膝蓋骨)は太ももの上を下に動きます。
上記の左側の画像は膝が伸びている時のお皿(膝蓋骨)の位置です。
右側の画像は膝を曲げた際のお皿(膝蓋骨)の位置です。
このお皿の動きが、スムーズでなくなると上記の様な痛みが出る事があります。
お皿の動きを邪魔してしまう要因は大きく分けると三つあります。
1.筋肉がお皿を太ももに「押し付けてしまう」事で動きが悪くなる。
2.お皿が動く(専用の滑走路みたいなもの)道から少しズレてしまう。
3.両方
となります。
1〜3までの各要因に対しても「なぜ?」と掘り下げていくことでより確実性の高い要因を見つけ出す事が出来ます。
確実性の高い要因を正せば、よりその効果は症状に反映されやすくなります。
但し、その大元の要因が
・すぐに正せるものか
・時間をかければ正せるものなのか
・残念ながら、不可能なものなのか
によって自覚症状が消えるまでの期間、可能性は違ってきます。
ちなみに、
・ジャンパーズニー
・ジャンパー膝
・オスグッド
成長期の運動をしている子供の膝前面の痛み(オスグッド・シュラッター病)
・膝蓋腱炎
病名でいうと、このようなものが今回お伝えした内容に該当します。
膝の内側の痛み
膝の内側の場合、
1.内側々副靭帯損傷
2.変形性膝関節症
3.鵞足炎
などが一般的です。
専門的には同じ「内側」と言っても1〜3の痛い部分は異なります。
あなたの訴える部分や圧痛といって、「検査の為に押す」事で
痛みの部分を明確にするとそれだけで上記の1〜3の見極めは容易です。
内側側副靭帯損傷による膝内側の痛み
「内側側副靭帯損傷」は、スポーツ好きの方はアスリートのケガなどで新聞やネットの記事で目にした事がある方も多いでしょう。
内側側副靭帯損傷は、膝の捻挫です。
従って、これは「ケガ」です。
捻った、ぶつかったなど「明らかな」原因があり、傷めたタイミングもハッキリします。
つまり、あなたが「膝の内側が痛い」としても
・捻った・ぶつかったなどのケガの記憶が無い
・変わった事もしていないのに痛い
という場合には、この内側側副靭帯損傷である可能性が極めて低い為、除外しても良いでしょう。
逆に、上記の様に原因が明確な場合はこれを疑う必要があります。
傷んでいる程度によって三段階に分かれており、治療法や良くなるまでの期間が異なります。
重度の場合には、手術の適応になります。
つまり、「捻挫だから・・・」と言って軽視するのは危険です。
尚、これは余談では余談ではありますが、内側側副靭帯と
(太ももとすねの間のクッションである)内側半月板はくっついています。
膝を捻ったり、ぶつかったりした際に
・内側側副靭帯
・内側半月板
・前十字じん帯
の三か所を一緒に傷めてしまう場合があります。
これは、「不幸の三徴」と言って、膝のケガの中でもより重症度が高いとされています。
「膝の内側が痛い」「明らかに捻ったりぶつかった原因がある」場合には膝の内側側副靭帯損傷を考慮して、早めの受診をお勧め致します。
ケガの場合にはこちらの記事をご参考にご対応のうえ、早めの受診をお勧め致します。
変形性膝関節症による膝内側の痛み
変形性関節症は、名前の通り変形を伴うものなので経年劣化との関連が深くなります。
従って、若年者よりも年齢を重ねた方の方が、使用年数が長いので患う事が多いのが特徴です。
とはいえ、「変形性関節症だけど痛みの原因が変形で無い場合」も実は多くあります。
また、変形は、一朝一夕になるようなものではありません。
僅かな負担が「膝の内側に集中的に掛かり続けること」で起こっています。
つまり、変形性膝関節症の変形によって痛みが出ていたと仮定しても、すべきことは「膝の内側に集中的にかかり続けていた負担を減らす」ことになります。
そこで明確にすべきは、「なぜ、膝の内側に集中的に負担が掛かり続けてしまったのか?」です。
「体重が重いから・・・」
体重過多が問題になるのは、膝に限ったことではありません。
本来なら膝だけでなく腰にも股関節にも足首にも右にも左にも、内側にも外側にも体重は掛かっているハズです。
つまり、体重過多はあくまでも「変形性膝関節症の一つの理由に過ぎない」ということになります。
体重を減らすことは言うまでもなく重要です。
ただ、体重が減らないからどうしようもない・・・ということではないことをご留意下さい。
・曲がるべき角度で膝が曲がることができるのか?
・曲がるべきタイミングで膝が曲がることが出来るのか?
・曲がる際に伴う膝の捻じれは正しく起こっているのか?
伸びる際も同様ですがこのような機能を診察でチェックします。
・なぜ、曲がるべき角度になることが出来ないのか?
・なぜ曲がるべきタイミングで曲がることが出来ないのか?
・曲がる際に伴う捻じれはなぜ起こらないのか?
これらを掘り下げて診察していきます。
膝は、単体で動いているわけではありません。
当たり前ですが、膝が動くには股関節が動く必要があるし、足首も動く必要があります。
股関節が動くには骨盤が動く必要があるし、骨盤が動くには腰が動く必要があります。
膝以外の部分が膝の内側の痛みの原因になることがあります。
それを見つけることが出来るかどうかがまず重要です。
次には、見つけた原因が正せるものであるかどうか?が大事になります。
変形性膝関節症の治療法
・サプリメント
・減量
・筋肉をつける
・サポーター
・手術で人工関節へ
・注射
・温める
が一般的です。
全て、正解だと思います。
しかし、問題は「あなたの変形性膝関節症の原因が何か?」ということになります。
極端な例ですが、前項で述べたような膝以外の部分にも問題がないとします。
足が細すぎて筋力が無い方 → 筋力トレーニング
体重過多 → 減量
冷え → 温める
これで十分だし、それ以外に方法がないと思います。
でも、原因が他にある場合には筋力トレーニングや減量・温めの前に問題を正す必要があります。
理由は、問題が正せていないと筋力がアップしても減量しても温めても(楽になることはあっても)さほど痛みに反映されないからです。
膝の前側・内側の痛みでお困りの方は
今回の記事で皆様にご理解頂きたいのは
・膝の前側の痛みの多くは「機能的なもの」であり改善可能な症状であること。
・膝の内側の痛みには様々なものがあるということ。
・膝の痛みの原因は膝以外の部分から来ている場合も多いこと。
・様々な情報に振り回されるのではなく、「あなたの膝の痛みの原因を正す」ことが大事だということ。
・一般的には成す術がないように思われている痛みでも視点を変えれば成す術は多くあること。
以上の4点になります。
是非、膝の前側・内側の痛み(変形性膝関節症)をお持ちの方はお早めに専門家の指示を仰ぎ、適切な対処をされることをお勧め致します。
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