股関節の詰まり感・痛み・違和感について(変形性股関節症含む)
「股関節の炎症なので湿布を貼って安静にして下さい」
11歳の時の私は、土曜日の練習以降歩くのも痛かったのですが翌日もサッカーの練習に参加。
全力で走った際に「股関節がガクッと抜ける感じ」で歩けなくなりました。
病院に行きその旨を伝えると、冒頭のように医師に言われました。
今日になって思うと、
「その“炎症”が起きた理由、何!?(笑)」
という感じなのですが、1週間程度で完治した経験があります。
医師の見立ては正しかった訳ですが、私は医師ではない為にそれでは仕事が成り立ちません。
ちょうど今、その時の状況がフラッシュバックしてきたので原因を考察し、いつ遭遇するか分からない未来の患者様に対応出来る様に準備しておきたいと思います!
※元々、逆上がりとか後転、水泳、キャッチボールも満足に出来ない程の運動能力なのにも関わらず、友人にそれをバカにされたことがきっかけで能力に抗ってしまった人間なので、「ただ単に運動に向いていなかっただけ」の可能性もあり、考察するのがやや不安です(笑)
さて、股関節は体幹と足とを繋ぐ重要な関節です。
つまり、股関節の問題は他の部分に影響を及ぼし、また他の部分の問題が股関節に長期間波及し続けた結果として、股関節の自体の問題が引き起こされていることは珍しくありません。
今回は、そのような股関節についてです。
この記事は約2分で読み終えることが出来ます。
股関節の詰まり感・痛み・違和感は治るのか?
治るものと治らないものがあります。
治るものか治らないものかの判別については、レントゲン検査をすれば分かります。
先天的・後天的いずれにしても骨の形状によるものが原因である場合には残念ながら治りません。
・先天性股関節脱臼歴のある変形性股関節症
・臼蓋形成不全
・以下で説明の大腿骨骨頭の形成異常など
但し、骨の形状の異常は「更なる変形を招く」恐れが高くなります。
それを、防ぐことは継続的な加療において可能です。
レントゲン検査を受けた後に
・レントゲン画像をCDで頂く
・レントゲン画像をスマホで撮影する
などして、画像をお持ちのうえでご来院頂くことも考慮して頂けるとご来院に際して望ましいと考えています。
股関節の詰まり感・違和感の原因
①【骨自体】の問題
②【関節】の問題
の二通りが考えられます。
①【骨自体】の問題
股関節は、骨盤と太ももの二つの骨から成る凹凸関係の関節です。
この股関節を形成する
・太もも
・骨盤
の【骨自体】の形状が特殊な場合には、通常の凹凸関係が築けない為に
・詰まり感
・痛み
・違和感
が出てしまうことがあります。
<骨盤側の問題>
<太もも側の問題>
このような場合には、骨自体の形状を変えることが困難な為に、症状が完全に消えることは難しくなります。
骨盤側の問題の場合には、脱臼などのリスクが高まることから程度に応じて手術の適応になる場合もあります。
但し、プロアスリートにおける調査では、約半数の選手が「骨自体の形状の異常をを伴っているものの、痛みがないケースも多い」との報告もあり、実際の症状と変形との関係性においては、下記に述べる点を考慮する必要があります。
②【関節】の問題
前述の通り、股関節を構成しているものは
・骨盤
・太もも
です。
この両者の間隔が通常よりも狭くなってしまうことを
【変形性股関節症】
と言います。
【変形】と聞くと加齢だから仕方ないというイメージを持たれる方も多くいます。
間違いではありませんが、
【なぜ、股関節が変形しなければならなかったのか??】
という視点で見ていくと、改善が望める場合があります。
つまり、股関節ではなくて股関節以外の部分の問題を長期間放置したが為に問題が股関節に波及してしまったのではないか・・・と考えます。
股関節は
・膝
・骨盤の仙腸関節や腰仙関節
という関節に上下を挟まれた位置関係です。
つまり、股関節に負担を掛けたり、掛けられたりという身近な関節になります。
この両者または、どちらかの関節に問題が生じていたとすると股関節の症状は出やすくなります。
従って、この場合で言うと問題のある両者、またはいずれかを正していくことが股関節の症状を改善するうえで不可欠になります。
※ここで言う「問題のある」というのは必ずしも、「痛みがある」ということではありません。痛みが無くても検査をすると問題が残存していたりすることを指しています。
◎腰についてはコチラをお読みください。腰痛の原因・タイプ別にみる対処法
◎膝についてはコチラをお読みください。階段の上り下りで感じる膝の痛み
補足として、実際の話をすると前述のように
・膝
・仙腸関節・腰仙関節
の両者に隣接する
・膝であれば足首
・仙腸関節や腰仙関節であれば腰や首の関節
の問題・・・というように繋がりを意識して検査して問題の部分を正すことが股関節の症状を改善していくうえでは不可欠です。
股関節の詰まり感と反り腰の関係
立った状態で前屈する場合。
仰向けで股関節を抱える様に曲げていく場合。
両者共に「股関節は曲がっています」。
ただ、その内訳が異なります。
足に対して、骨盤が曲がっていくのか。
骨盤に対して足が曲がっていくのか。
純粋な股関節の問題(変形や異常)の場合には、この両者で
・詰まり感
・痛み
などが生じます。
もしあなたの股関節の症状が
・立って行う前屈
・仰向けで股関節を曲げた時
とシチュエーションによって異なる場合には、改善の余地があります。
理由は、股関節以外の条件が変わることで症状の有無に違いが認められるからです。
例えば、仰向けで右股関節を曲げる場合には、
・右側の骨盤の後傾(股関節後方の筋肉の弛緩と前方の筋肉の収縮)
※図は前傾なので逆をイメージして下さい。(横着してすみません)
◎股関節の前面の筋肉
◎股関節後面の筋肉(第一層目)
◎股関節後面の筋肉(第二層目)
・腰椎の屈曲(腰が丸まれるかどうか)
・左側の股関節の伸展(ベッドから浮かないでいられるか)
といった要因が不可欠になります。
これらが欠けてしまうと「骨自体の問題が皆無でも」股関節を曲げた際の詰まり感、違和感が生じる可能性があります。
もう一歩、各患者様に想像しやすいように踏み込んで言うと
・右足を上に足を組む事が多い。
・右足を前に(左足を後ろに引いて)して座る事が多い。
・体幹の筋力不足で下っ腹が出ている「反り腰」傾向。
・横から見ると顎が上がった姿勢。(頭痛持ちに多い)
などの様な事が挙げられます。
もちろん、これらはそれぞれ絡み合います。
また、「これらの条件自体が何かの異常の結果に過ぎない」場合もあります。
その場合には、
・右足を上にしてしまう原因は何のか。
・反り腰・体幹筋力の低下の原因は何なのか。
・顎が上がってしまう原因は何なのか。
を見つけ手を施す事になります。
【股関節の詰まり感は足を逆に組めば治る】
【股関節の詰まり感は体幹の筋肉をつければ治る】
【首のストレッチで股関節の詰まり感も治る】
例えばですが、このようなことは一見すると画期的なように感じます。
でも、仕組みを知ると
「そのような場合もあるだろうな」
と捉える事ができます。
あなたがもし、「話のネタとして、興味本位で、批評目的で取り組むのならば」何をされようと私が口出しすることではないと思います。
但し、「何とか良くしたい」「少しでも良くしたい」という希望をお持ちならば、今一度冷静に考えで頂くことを私はお勧めします。
脱力時の足の開き具合いの左右差について
「片側はつま先がえらく外を向いている」
このように、脱力時(仰向けなど)の左右差を認める方は少なくありません。
これらにはいくつかの原因が考えられます。
①そもそも体が捻れている。
②膝・すねで外側に捻れている。
③足首が外側に捻れている。
④股関節を内に入れる(内旋)可動域に制限がある。
⑤股関節・太腿を外に向ける筋肉が相対的に強い。
⑥股関節・太腿を内に向ける筋肉が相対的に弱い。
⑦太腿骨の形状の問題。
①から③は、視診で分かります。
④から⑥は、触診と手で行う検査で分かります。
⑦は手で行う検査がありますが画像検査が最も正確です。
筋肉の強い・弱いについてですが、「股関節を内側に入れる可動域に制限がある状態で」筋肉を強くしても何も変わらない事が見落とされがちです。
内外の可動域がイーブンな状態で、それぞれの方向に引っ張る筋肉がもう一方より強いから、脱力時に強い側に引っ張られることでその姿を呈すことになります。
可動域制限・他の問題が皆無だと仮定して、以下の図の筋肉などが相対的に強いと「つま先は外を向きます」。
脱力下で他人が動かしても、可動域に制限が認められる場合には、その可動域制限の原因を取り除かない限りは、筋肉を鍛えて引っ張っても状態を変える事は不可能です。
当然、可動域制限の原因が前述の様な改善不可能な状態であれば、筋肉をつけて向きを変える事は不可能になります。
また、相対的に弱い側と強い側に同程度の筋トレをしても「差が埋まらない」ので、状態が変わらないこともご留意下さい。
これは、「可動域を出す」為のストレッチでも同様なのでご注意下さい。
股関節のストレッチ・エクササイズについて
前述の通り、同じ股関節の症状でも内部の状態は異なります。
つまり、何をどう施すべきか?もそれぞれ異なります。
【骨自体の問題】で、
・つまり感
・違和感
を感じている場合に、股関節の可動域を出すようなストレッチを行うと関節を傷める恐れがあります。
なぜなら、【曲がるハズのない状態にも関わらず、無理やり曲げようとするから】です。
関節唇(関節内にある組織)を傷めると問題はより長引き、(関節を構成する組織を傷めたことになるので)変形性股関節症への移行のリスクが高まります。
・股関節のストレッチ
・股関節のエクササイズ
・股関節の治療を受ける
・股関節の手術を受ける
これらは、股関節以外の問題が改善した後に行うべき内容です。
そして、股関節自体に改善困難な状態があるのであれば、股関節自体に執着することは危険です。
何をするか?
よりも
股関節の内部がどのようになっているのか?
をまず把握し、それに準じた方法を選択されることをお勧め致します。
【あなたの股関節にとってストレッチが必要で、どのストレッチがベストかが明確になった段階だと仮定して】
あとは、継続が鍵になります。
経営者ながら経理や財務について語れるような人間ではないのですが
「収入と支出のバランス」
のような解釈がストレッチなどを継続するうえでは大切だと考えます。
「正しい方法が、体の異常を上回らないと」症状の改善は見込めません。
いくら収入が多くても、支出が1円でも上回っていれば赤字です。
従って、正しいことをしたからすぐに、結果・症状の改善に直結する訳ではありません。
いくら正しいことをしても、改善の妨げになるような事柄が減らなくては結局は何も変わらないこともあります。
だからこそ、「あなたの症状にとって何をすべきで何をすべきでないか」を明確にする必要があります。
体の場合には、収入増に値するストレッチなどの“正”の事項を増やす、変えるよりも“負”の支出に該当する「改善の妨げになり得る事柄」を減らす方が遥かに改善に近付くことを多々経験します。
冒頭の私の様に、体には自然治癒力が備わっている為、「本来は、良くなって当たり前」です。
従って、まずはこの点にご留意頂くことが大切だと考えます。
継続する為の、根気や熱意(その重要性を説いたことも説くつもりもありませんが)が仮に必要だとすれば、それを発揮するのはこの段階に到達してからで十分だとご理解下さい。
股関節自体が問題の場合の治療
前述の通り、股関節以外の問題に該当しない場合には股関節自体に手を施します。
一例ですが、股関節を曲げると左図のような現象が起こります。
股関節を曲げた際に
・詰まり感
・痛み
・違和感
がある場合には、右図にあるような股関節の後面の硬さなどの問題が考えられます。
その部分の問題を解消する為に筋膜リリースをはじめとした方法で柔らかくしていきます。
股関節後面の硬さが改善すると、股関節を曲げた際の正しい動きが回復します。
その結果、
・詰まり感
・痛み
・違和感
が改善することになります。
・骨盤が前傾していたら正す。
・腰椎が丸まることが出来ないなら出来るようにする。
・反対の股関節が浮いてしまうなら浮かないようにする。
前述の通り、それぞれの原因が別にある場合には
「骨盤・腰椎・反対股関節に手を施さない方が賢明」
なので本来の原因の部分を介して正していきます。
これはケースバイケースなのでここでは明言出来かねますが、経過を見ていけば明確になることです。
今回の記事で
・股関節以外の部分に原因がある場合もある。
・股関節に何かを施しても改善が乏しかった方もまだ希望がある。
・先天的に股関節に異常があっても、変形リスクを下げる余地はある。
といった事が少しでもご理解頂ければ非常に嬉しいです。
以上、今回の内容が股関節の症状にお悩みの方の何かお役に立てたら幸いです。
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