成長期の運動をしている子の膝前面の痛み(オスグッド・シュラッター病)
成長期の運動をしている子供の膝の前面の痛みで有名なのが【オスグッド・シュラッター病】です。今回は、 オスグッド・シュラッター病 をお抱えの方やその親御さん向けに治療法として一般的なストレッチの効果の有無と正しい対策・治療について述べていきます。
オスグッド・シュラッター病は治るのか
オスグッド・シュラッター病 の出っ張りは治りません。成長過程でのみ起こる症状の為に、遅かれ早かれ「痛みは」なくなります。但し、今回の記事で述べたいのは、【成長や時間が解決してくれるのを待つのではなくて、正しい対策・治療を受けて痛みを無くしましょう】という内容です。
オスグッド・シュラッター病 ですべきこと
①練習、試合後の徹底したアイシング
詳しくはコチラの記事をお読み下さい。 https://kyouzi-seikotsuin.com/first-aid-yourself/
②練習、試合前後の【正しい部分のストレッチ】
③膝以外の部分の適切な治療
この3点の【質】が極めて重要です。他の事と同様に質が伴わなければ、やってもやらなくても同じになります。①②に関しては、ご本人や親御さんが行うものです。従って、【質】を上げる為に、【なぜ、痛みが出ているのか】を以下の内容を参考にご理解下さい。
オスグッド・シュラッター病 の原因は?
この上図の膝蓋靭帯(膝蓋腱も同じ意味)と骨がくっつく部分に痛みが出るのが、 オスグッド・シュラッター病 です。 成長過程の子供の場合には、下図のように緑色で書いた部分の様に膝蓋靭帯とすねの骨のくっつく部分が【象の鼻??のように垂れ下がっており、大人の様な骨の形状になっていません】。 つまり、太ももの前面の筋肉の硬さによって、膝蓋靭帯及び膝蓋靭帯のすねにくっつく部分が引っ張られすぎると痛みが出る訳です。
オスグッド・シュラッター病 はどうすればよいのか?
【太ももの前面の筋肉のストレッチ】を推奨されることが最も一般的です。しかしながら、それで良くならないからこそ困っている方も珍しくありません。理由は、【なぜ、“あなたの太ももの前面の筋肉が”硬くなってしまっているのか?という点を考慮していないから】です。
下の図を見て下さい。
痛みのある部分よりももっと広く体を見てみると、太ももの前面の筋肉が骨盤からスタートしているのが見てわかると思います。
つまり、必要に応じて、
・骨盤の状態を考慮してストレッチをする筋肉を選ぶ。
・筋肉によってストレッチの強度に差をつける。
・ストレッチの順番を体の状態によって変える。
必要があります。
※全てのストレッチをまんべんなく行う方法では【質としては不十分】です。
オスグッド・シュラッター病 の場合には、多くの場合で以下のような姿勢・骨盤になっています。
【骨盤後傾】といって、いわゆる”グダーッとした”姿勢です。骨盤後傾した状態を前提に行う運動は基本的に存在しません。つまり、 オスグッド・シュラッター病 の有無に関わらず、競技面から考えても骨盤が後傾した状態は、デメリットしかありません。
オスグッド・シュラッター病の骨盤後傾を改善するには?
改善して頂きたいので、やや厳しいことを言います。「改善したいのならば、ご自分のすべき事を、とにかくやること」です。お父様やお母様、監督・コーチや先生、友達やチームメイトではなくて、ご自分がどうしたいのか?です。大人でない方に対して大人が偉そうに言ってしまい恐縮ですが、私は10歳でこの様に考えていたので、患者様に対しても年齢で決めつけるのは失礼だと考えてお伝えしました。
ステップ1:座っている時の姿勢を変える。(姿勢を正す)
ステップ2:立っている時の姿勢を変える。(姿勢を正す)
ステップ3:運動時の姿勢に反映される。
というように、まずは
・勉強している時の姿勢
・スマホやテレビを見たり、ゲームをしている時の姿勢
から意識していく必要があります。理由は、立っている時よりも座っている時の方が(下半身が関与しない為)正しい姿勢を習得するのが簡単だからです。
また、正しい姿勢を習得する以前に【背骨や骨盤などがズレていないのが大前提】になります。背骨・骨盤がズレているということは、【関節が引っかかっている】訳なので【意識だけで姿勢を正す・維持することは不可能です】。従って、骨盤後傾を正す為に太ももの後面の筋肉のストレッチ(検索するとすぐに辿り着くと思いますが)をしたりする前に必ず背骨や骨盤の専門家に診てもらって下さい。
※骨盤の後傾を正す(骨盤を前傾させる)方法は、ストレッチ・筋力トレーニングなどいくつもあります。方法論の前に前傾させる必要があることをご理解下さい。
オスグッド・シュラッター病を治す為に覚えておいて頂きたいこと
上図のように骨盤前傾させると、太ももの前面の筋肉が縮む・緩むことになります。つまり、膝蓋靭帯やすねにかかる負担が減ります。但し、
【オスグッド・シュラッター病には、この方法をすれば治るという決まった方法は存在しない】という現実も理解する必要があります。
だから、「オスグッドのみんなを一括りに、オスグッドは“こうだ”と決めつけていない」体のプロに診てもらうことが望ましいです。各個人の答えを導き出したうえで、結果に繋げるからプロの専門家であって、受け売りの“誰かに対する答え”を伝えることがプロの専門家ではないと当院では考えています。
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