テーピングをする意味と価値について
私は当然ながら医師ではないので、患者様の症状に対して用いることが出来る武器が非常に限られています。
・自分の手
・自分の頭
・ベッド
・テーピング
・アイシング用の保冷剤など
改めて自らの武器を挙げてみると、なんとも頼りない…
「提供している自分で言うか??」
そんな声もありそうですが、これは隠しようがない事実です(笑)
改めて見ても、医師のメス、各薬剤を用いた服薬、注射などに比べると頼りないにも程があると個人的に思います。
でも、頼りないものでも「工夫して」結果を出してきた方がいるから私の業界は今も存在していると解釈しています。
【頼りない事なんて大前提で、患者様の改善の可能性を1%でも高める為にあなたは何をしている(してきた)のですか?】
どの立場・職種の方にもあると思いますが、各患者様に応じてこれの可否を自身に問いかけ続けるのが私の仕事の飽きない点でもあり、頭を悩まし続けている点にもなります。
患者様にもご理解頂く事は、改善の可能性を1%でも高めることにつながると考えてこの記事を書いています。
今回は、限られた武器の中から「テーピングについて」です。
テーピングの目的と種類について
①傷んだ関節や筋肉の固定
②筋膜の滑走改善やリンパや血液の循環を促す役目
2種類があります。
今回は①については割愛しますが、私は相対的に①を用いることは少ないです。
理由は、固定はテープの添付からの経過時間に比例して弱くなってしまうからです。
基本的に、固定はシーネと呼ばれる板、またはギプスなどを用いて、「大は小を兼ねる」という考えで初期は大掛かりに、改善に応じて軽くしていくのが鉄則です。
①の場合には、「伸縮性の無いテーピング」を用いることも多いのが特徴です。
理由は、前述の通り「固定」する為になります。
私が、治療の後に添付することが多いのは「②筋膜の滑走改善やリンパや血液の循環を促す」ためです。
当院でのテーピングの目的
当院でテーピングを添付する理由は
「貼った方が結果に繋がりやすいから」
です。
その理由を解説していきます。
体の構造とテーピング効果機序
※スマホのアルバムに残っていた5年前?位の画像で、コロナ禍に撮影したものではございません。
体は、↑↑このケーキのように「層構造」になっています
添付する際に少し伸ばしながら貼ったテープが縮むことで、この「各層の間」のスペースが広がる(たるむ)ことになります。
つまり、
・内圧を下げることが出来る。(腫れなどの際に)
・各層の分離、滑走を促せる。
ことになります。
つまり、「力が伝わりやすくなる」=「筋力がアップする」ことが期待出来ます。
また、テープを添付する皮膚には「感覚受容器」というセンサーが存在しています。
・触覚や圧覚(圧迫)を感じるセンサー
・温かさを感じるセンサー
・冷たさやを感じるセンサー
などがあります。
それぞれのセンサーが別々の神経を介して、脊髄に伝わって最終的に脳に伝わります。
それぞれの神経は「太さが異なります」。
スマホの充電器もコードが太いと充電の速度が増しますよね??
あれと同じで、神経が太いと早く脊髄に伝わり、細い神経だと伝わるのが遅い特徴があります。
話を戻すと、テープを貼ることは、触覚・圧覚のセンサーを刺激することになります。
触覚・圧覚センサーを伝える神経は、痛みを伝える神経よりも太いという特徴があります。
太いということは伝わる速度が早いので、痛みが脊髄に伝わることを邪魔する役目が期待できます。
つまり、「副作用のない痛み止め」の効果がテープによって期待出来ます。
因みに、
・電流を感じる電気治療
・ぶつけた際に“さする“と楽になる。
・鍼灸治療
もこの機序によるものとされています。
テーピングによる鎮痛効果
「痛みを和らげて、動かすことで血流を良くして新陳代謝を促す」
「その結果、改善が早まる」
説明を省かれていることが大半ですが、筋肉や関節に対して処方される内服薬も注射、シップも本来の痛み止めの役目はこれになります。
「痛み止めを飲んでも治らない」
これは多くの方が経験から感じていること。
しかしながら、機序を考えたら「痛み止めで治らない」のは何も不思議なことではなく当たり前なのです。
「痛み止めを飲んでも治らないから施術を受けましょう」
ではなく、
「痛み止めを飲んで楽になったら動きましょう」
「楽になっても正しく動けないならば、動くことのメリットを最大限に享受出来ないので、正しく動けるように施術を受けましょう」
省略せずに述べるとこれが本来の目的になります。
従って、
テープを貼る
→施術後の状態をキープ出来る。
→今までより動ける。
→動けるから代謝が良くなる。
→より、改善が期待出来る。
当院でテープを貼る理由は、この通りです。
また、痛みは
①傷んでいて炎症を伴っているもの
②血行不良による酸欠によるもの
の2通りあります。
後者の場合には前述のように、前者の場合にはテープでスペースを確保して炎症による腫れの早期改善を促します。
傷んでいる場合には、「動かすことが必ずしも最善の方法とは限らない」ケースもありますのでご注意下さい。
テーピングを貼る際に考慮していること
当院で添付する際に考慮していることがあります。
・貼る場所
・皮膚に対しての貼る向き
・貼る際の姿勢や角度
・貼る際のテンション
です。
理由は、これらによって対象物が変わるし、効果が変わるからです。
従って、体の構造(解剖学)の見識有無によって同じテープを用いても結果は異なります。
当然ながら、
・皮膚が弱い方
・貼る必要がない方
などには無理強いをすることはありません。
改善の可能性を1%でも上げる為の取り組み
当院では、あなたの症状やその原因と考えられる状態、あなたのご希望によって、可能性を1%でも高める為にテーピングを用いています。
付随して述べると、当院には電気治療機器はございません。
理由は必要性を感じないからです。
また、前述のように医師ではないので薬剤の処方も出来ません。
「可能性を1%で高める云々をいうなら、医師免許を取る努力でもしたらどうなんだ」
思うような成果をあげられなかかった際に、私は自分に対してそのように思うこともあります。
資格を取れる取れないの話ではなくて、その努力もしないで語っている自分が不甲斐なく感じる時があります。
その度に頭を冷やして、なぜ自分がこの仕事を選んだのかを振り返ります。
私は整形外科で打撲と診断されて1ヶ月間、経過観察という名の湿布に週一の診察という謎の期間を経て最終的に手術をして回復した経験があります。
その際に私が思ったのは、
「この人は“ただ、こなしているだけ”で、各個人の人生や生き方を考慮することができないんだな」
(人それぞれ事情が異なるので)生意気ながらも率直にいうとそう感じました。
トータル3回の手術と2つの病院での入院、外来や病室での整形外科医の傾向を分析した結果、整形外科医には同様の傾向がある様に14歳当時の私には感じました。
逆に、接骨院の先生は
「明日、休みだけど朝ならテーピング貼れるから試合前においで」
と仰ってくださるような方でした。
私は、このような経緯から今の仕事に就くことを14歳の時に決意して今に至ります。
【今の立場で出来ることを自分は本当に出来ているのだろうか?】
【ただ、資格に逃げているだけなのでは?】
自分に問いかけた際に自信を持って否定できる段階に今日ではありません。
なぜなら、17年目の今現在でも先週・先月の自分が恥ずかしく感じる位に新たなことを得られている実感があるからです。
それを1日でも前倒しにすべく取り組む事が、改善への可能性を1%でも高めることであり、各患者様への誠意だと考えています。
最後に、私は自身の上記の様な経験から各患者様の意思を極力尊重するようにしています。
例えば、私がお伝えした通院頻度や注意事項をあなたが守らなかったとしても当然なから何とも思いません。
この仕事をしている人間としては失格かもしれませんが、個人的にはそのようなキャラクターの方も人間として好きです。
「きっと、ご自身で譲れない点や思う点があるのだろう」
そのように解釈します。
「やっぱり、悪化しました…」
仮にそのように伺ったとしても、私自身が言われた事の全てを遵守するような人間でないので、正直に言って何とも思いません。
なんとか、お力になれないかと私なりに尽力させて頂きます。
けど、八つ当たりをされた場合には、話を整理させて頂く様にしています。
理由は、私の仕事は改善の一助になる事であり、それ以上でもそれ以下でもないからです。
自分に対応できないケースは、対応する力量のある方への転院を勧めること。
これは、お身体の状態や症状を含めた鉄則だと当然ながら考えています。
従って、良くなって頂くにあたって適任で無いと私自身が思った場合には、転院をお願いするようにしています。
これらは表明しないと伝わらないことであり、取り越し苦労をされるケースもあると思いましたので(無用なお心遣いを頂かない為にも)明確にさせて頂きました。
必ず毎回の治療の最後に全員の方に私の方から伺うようにしていますが、ご要望や私が考慮すべきことがある方は随時、遠慮なくお伝え下さい。
以上、今回の記事があなたにとって何かお役に立てたら光栄です。
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