院長の整体新書 – 整体ブログ –

身体リソースの分配と施術の関係について

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社会生活において欠かすことが出来ない対人関係。私の仕事においても同様で、薬剤により薬理で、手術によって人為的に半強制的に身体を変えることが出来ないことから、施術の結果を左右し得る存在として、無視することは出来ません。立場が変われば見方が変わるのが当然だと考えます。この記事は、少しでも私側の考えをご理解頂くことが、各患者様にも有益なのではないか・・・という意図で書いています。もちろん、私の考えを押し付けるつもりも、これが唯一の正解だというつもりもありません。

身体について考える際の大原則

医療系の学生が生理学の講義で必ず習うのが「ホメオスタシス」という超重要概念です。簡単に述べると身体のコンディションを一定に保つ自動調節機構のことですが「身体に変化を起こすには、ホメオスタシスを一旦書き換えることが不可欠」です。社会生活で言えば、慣れ親しんだ職場を離れて転職することや、実家を離れて慣れない土地で新生活をする際をご想像下さい。この際に心身共に私たちの中で起こる様々なことを経て、順応していく過程を可能にしているのがホメオスタシスです。

身体は日々変わるもの

臨床で患者様と接していて最も多く感じる認識の相違が「身体は行動相応に変わるもの」という点についてです。

「辛い物を何日も食べ続ければ舌が慣れる」

「不慣れな仕事や生活の変化にも順応していく」

これは私の価値観や希望的観測ではなく、そういうものです。なぜなら、「生命活動を続けるうえではそうせざるを得ない」からです。従って、良し悪しの話ではないというのがポイントです。

歪みの捉え方

私の仕事で耳にするワードで言えば「ゆがみ」も同様です。睡眠時間以外の16時間の過ごし方の結果が私たちが無意識の時に呈している「姿勢」です。繰り返しますが、「順応」なので、良し悪しの話ではないです。

「モニターが右にあるから右を向いて仕事をしている」

→首や体が右に捻じれる(もしくは、相対的に下半身が左を向く)のは当たり前。

「仕事やスマホ使用で手元を見ている時間が多い」

→見ている角度で前傾姿勢になるのも同様です。ネガティブに捉えれば「歪み」ですが、ポジティブに捉えれば「あなた仕様にカスタマイズされている」とも言える訳です。

変わらないから施術対象

視点を変えると、

・立位

・臥位

身体の各パーツに掛かる重力の方向が異なるのに、同じ姿勢(歪み)だったら説明がつかないので私は全員の患者様に姿勢を変えて状態を毎回チェックをしています。変わるハズなのに変わらないのは、融通が利かない、フレキシブルさが欠けた状態である可能性を示唆しています。これは、生活を変えても、「自力で順応出来るポテンシャルが欠けている」訳なので、私はこれを戻すことを施術でしています。加齢変化は誰にでも起きますが、問題はその程度です。「同じ部分に負荷が掛かり続ければ同部が相応に摩耗する」のは当然なので、それをいかに分散し、特定の部分の摩耗を抑えられるかが施術の目的の1つです。

変化の過程で起こり得ること

慣れ親しんだ生活を手放し、新たな挑戦を始めることは年齢や経験が増すほどに、ハードルが高くなるのではないでしょうか。なぜなら、身体だけでなく、時には自分自身をマネジメントしている思考自体も適応させていく必要があるからです。これは身体を変える際にも同様です。「あなた仕様にカスタマイズされた状態」が、もしも症状の一因になっていて、あなたがそこからの打破を薬や手術以外の方法で望むのならば、同じことをしていては難しいと私は考えています。これは、頭では誰でも分かっていても、実行に移すのは簡単なことではないです。若輩者ですがその難しさは、私も痛いほどに分かっています。だから、私は今の院の経営方針、スタイルを選んでいます。この記事や初回予約の方法、電話対応から施術時の検査や説明、初回の施術、次回以降の伝え方、通院間隔が空いた方への対応、施術・・・書ききれないけど、漏れなく全てです。(身体の状態が伴っていない弱音に否定も同調もしない、施術で触れない場所、触れている場所は当然ながらその一環です)

取捨選択の必要性

私は何を取捨選択するのかは各患者様が選択すべきであり、選択する際には情報が少ないよりも多い方が良い為に自分に何が出来るのかを伝えることが必要だと考えています。最も私が臨床上で苦慮するのが

「お持ちのリソースを集中的に投下出来る場合と分散せざるを得ない場合」

についてです。身体を変えるには、

・新陳代謝で変える

・投薬で変える

・メスによって手術で変える

の3つしかありません。私の仕事は投薬や手術をすることではないので、新陳代謝に頼ることになり、「酸素」「栄養」が極めて重要で、それを送り届けてくれる血流が全てです。問題は、その配分です。例えば、

「私は、右腰に酸素や栄養を送り届けることを目指して施術をした」

「患者様は、帰宅後に痛くなる前からやっているルーティンのエクササイズを行った」

これは、同じパイを奪い合っていることがご理解頂けるでしょうか。一定量かつ有限な血液を、可能な限り腰に集約させた方が腰の新陳代謝には良いと思いませんか?もちろん、

「そんなことまで考慮しなくても、改善する状態や症状は沢山あります」

でも、

「そんなことまで考慮して初めて、改善の可能性が出てくる状態もある」

訳です。人間は誰しも年齢を重ね、身体機能は落ちていきます。

『使用量<回復力』

何ともない。

『使用量>回復力』

痛み。

後者の場合には

①使用量を減らす

➁回復力を上げる(根源と考えられる部分の)

➂両方

の3択をあなたは迫られることになります。その時に、ホメオスタシスを書き換えられるか、私がそのお力になれるのかが結果を左右することになります。因みに、ここで述べている「パイ」は血液によって送り届けられる酸素や栄養です。あなたの身体のどこに酸素や栄養をどの程度の配分で送るかを決めているのは神経系です(血管というインフラを制御しているのは神経系です)。だからこそ、どこに、どの方法で、どの程度の、施術をするのかの判断が欠かせないのです。

身体を変えること自体は難しくない

難しいのは「症状に反映されるレベルで体を変えること」です。身体を変えるには

頻度×期間

が必要です。通院の話をしている訳でなく、生活上の話を含めてしています。また、当然40代以下の方と以降の方では必要な回数や期間も異なります。なぜなら、新陳代謝に大きな役割を担う成長ホルモンの出る量が異なるからです。例えば、40代の私が20代の頃と同じ頻度や期間で同じ成果を得られる訳がないのです。これは気持ちの問題や才能の話ではありません。それを踏まえたうえで「何を、どうマネジメントするのか」という話です。

「定期的に家族内で席替えをする」

「定期的に模様替えをする」

私が多くの場合に提案する生活上の心がけとしてはこれらがあります。

「毎日、ジムに!」

「毎日、30分は歩いて!!」

などとお伝えするケースは年に1人もいないでしょう。でも、意図が伝わっていないと感じるケースもあります。これは私の責任でもあるので、この記事もその意図から書いています。別に、変えることが正義とも思っていませんが、現状打破を目指すのであれば、ホメオスタシスを書き換えないと難しいです。ホメオスタシスを書き換えることは、身体が慣れ親しんだ条件や範囲の外に出る訳なので、快適な訳は基本的にありません。でも、自覚症状を変える為に、投薬や手術ではなく新陳代謝を選択するのであれば、「行動によって、お身体の状態を変え、症状に反映させる」以外にはないと私は考えています。どれだけ言葉を尽くしても、私に奇跡は起こせませんし、不可能なことも多くあります。23年の臨床経験は、絵空事や夢を語れるほど私を純粋にはさせてくれませんが、それでも現状で立ち止まるつもりは一切ないので、事実止まっていません。

今回の記事を通じて、私の意図と提供していることの意味が、一人でも多くの方に届くことを願っています。

追記

丸6年のうち5年間、ほぼ同じコースを走ってきた私の身体は、ホメオスタシスによって筋肉痛すら皆無になっていました。加齢変化により、現状維持は後退なので、当初は3:50台/kmだったペースが4:30台/kmへとペースがどんどん遅れていることから、週に1回は坂道ダッシュの繰り返しで2km+普通の道路で3kmに変更、坂道はアキレス腱への負荷が大きく慣れていないと断裂リスクがあるので、翌日は同部を使用しない自転車で10kmという内容に変更しました。今はまだ3週目でホメオスタシスの書き換え途中なので、掛け布団を足で持ち上げることすらも苦痛で、その度に足が攣る日々です。坂道で苦しい時も、夜中に足が攣った時も

「運動が嫌いなのに、一体何を目指しているのだろう・・・」

と我に返ることがあります。でも、人生は理屈で説明出来ることばかりではないでしょう。だから、続けていますし、ホメオスタシスを書き換えるとはこういうことだと日々実感しています。

参考

米井嘉一『アンチエイジング医学の基礎:抗加齢医学入門』第3版(慶應義塾大学出版会)

小澤 靜司 他『標準生理学』第7版(医学書院)

坂井建雄 監訳『カラー図解 ヒューマン・ボディ:人体解剖生理学』原著第5版(メディカル・サイエンス・インターナショナル)

森谷敏夫 総監修『NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識』第2版(特定非営利活動法人 NSCAジャパン)

鈴木俊一 監訳『プライオメトリック・トレーニング:動的筋力と爆発的パワーの向上』第1版(大修館書店)

平山邦明『アスレティックパフォーマンス向上のためのトレーニングとリカバリーの科学的基礎』(文光堂)

ジョルジュ・コウト・レイス 著『戦術的ピリオダイゼーション再考:なぜ「モルフォシクロ」の体系的な反復がサッカー選手を最適化するのか』(株式会社カンゼン)

García Manso, J. M. (1999). La planificación del entrenamiento deportivo. Editorial Paidotribo.

矜持整骨院
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