「ある角度で」二の腕や肩が痛む、インピンジメント症候群と腱板損傷について
割と有名な四十肩・五十肩は特定の状態を指している訳ではなく、実はいくつかの状態・病名が混在していることから本来はその改善策も異なります。十代や二十代の水泳や野球・バレーボールなどの手を上に挙げることの多いスポーツで起こり得るトラブルと同様の状態を呈すこともあり、年代によって一括りにした改善策や対策を当院ではしていません。
インピンジメント症候群とは何か??
”本来であれば”衝突するハズのない肩甲骨と二の腕の部分同士が衝突を繰り返したり、通常よりも過度な圧での衝突を繰り返す現象を指します。その衝突する部分によって、介在し傷む筋肉や腱が異なり、自覚する痛みの部分や動きが変わります。当然、「衝突を避ける状態を作り出す=施術・エクササイズ」もそれぞれ異なります。傷んだ腱が「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」「肩甲下筋腱」の場合には、(この4種を回旋筋腱板とまとめて言うので)腱板損傷や各筋腱のそれぞれの名称で〜損傷、上腕二頭筋長頭腱であればインピンジメント症候群による上腕二頭筋長頭腱損傷…と(普通はここまで言われませんが)詳しく述べるとこれらの病名がつきます。
インピンジメント症候群は治るのか?
結論から述べると大半の方は治ります。但し、言い訳に思われたら心外なのですが、実際問題として簡単ではありません。「普段は全くしない無理な姿勢で棚に手を伸ばして傷めた」のであれば、元々摩耗していた筋肉や腱が不運にも”たまたま”損傷しただけとも考えられるので、二度とその様なことをしなければ傷んだ筋肉や腱は遅かれ早かれ回復していく訳なので経過観察だけも十分なケースもあるでしょう。逆に「日常的に行っているような投球・水泳・バレーボールのスパイク、家事など」の場合であれば”知らず知らずの内に、衝突を繰り返していた現実を改めなくてはならない”ので、フォーム改善や肩以外の部分の改善を行う必要があります。また、衝突により傷んだ筋肉や腱の損傷度合いが一定以上の場合には手術しか改善方法が存在しないケースもあります。そもそもの状態が多岐に渡る以上、あなたの状態が把握出来ないと詳細を述べようがないというのが正直なところです。
インピンジメント症候群の種類と症状
痛みが出る動作時に肩の内部では、肩甲骨と二の腕がどのような角度や位置関係にあり、その時にはどの筋肉が縮み(筋力が必要で)、どの筋肉が伸びているのが正常で、それと比較してあなたのエラーは何なのか?を見つけ出すことが大切です。理由は、それが分からないと異常箇所が特定出来ず、それを掘り下げ・辿ることが出来ない為に根元を見つけ出すこと、正す事が出来ず、ただ闇雲に時間だけを費やしてしまう可能性が高いからです。参考までにインピンジメント症候群には下記の種類があります。
・肩峰下インピンジメント:脇を開く動作で痛む
・烏口下インピンジメント:反対側の方を触ろうとした時に痛む
・インターナルインピンジメント:背中・腰を触ろうとして痛む
・前上方インピンジメント:高い棚のものを取ろうとして痛む
インピンジメント症候群や腱板損傷における2023年12月現在の矜持整骨院の課題
投薬や手術が出来る訳ではないので、肩に限らずどの部分のどの疾患であっても、「物理的に傷んでいる組織自体を私が治すことは出来ません」。ただ、最高に治りやすい状態を作り上げて、あなたの新陳代謝にバトンを繋ぐことが私の仕事です。でも、今回の肩に関してのみ、新陳代謝に委ねても思ったよりも難儀するケースがあるのが私の現実です。患者様との足並みが揃えば肩以外が95%位は思った通りに進んで行くとすると肩は85%位だと体感しており、自身に苛立ちを感じる日々です。但し、20年の経験を振り返れば、今は笑って対応出来る症状や状態も頭を打って1つずつ克服してきた自負があるので、(100%に近付ける程に1%の難易度は上がると想像しており、そちらの更なる克服を同時進行でしながら)今は1日も早く今回の肩に関してもそのようになりたいと行動しています。
一般的な方法で結果が出ないこともあるから、私の仕事が存在している
この記事だけで「肩が治ります」という意図で発信しているのではなく「簡単ではなさそうだし、面倒そうだな」と感じて頂くことが、結果的には早く治ることに繋がると経験から感じているのでそのような意図をもっています。誤解されていることが多いのですが、改善には経験・技術や手先のセンスは必要なく、体の構造(解剖学)、体の機能(生理学)、関節や筋肉の動き方(運動学)の知識があれば、もしくは独学で片っ端から専門書などを読み漁り、共通項を抽出し、模型やアプリでイメージを膨らませる能力のある方は注意事項やすべきエクササイズやストレッチ、行うことで逆効果な事柄が自ずと導き出されるので素人でも自分で治せます。(状態ありきで方法が決まるのであって、方法が先ではない)私は要領の悪さと、能力的な問題により20年を経て今に至りますが、当然ながら元々は素人なので独力で出来る人もいるだろうなと感じています。最も悔やまれるのは、「物凄く浅い一般論的な方法の効果に悲観し投げやりになっていたり、他人向けの方法を自らご自分に置き換えて限界を自分で決めていること」だと思います。限界は絶対ありますが、改善が望めるような土俵にすら上がっていないケースに割と多く遭遇します。知らなかった故に損をしている方に罪はありませんが、あなたの健康をマネジメントするのはあなたご自身なので、是非それらが全てだとはお考えになられないようにと願っております。私は医師でもないただの柔道整復師・カイロプラクターですが「医学」という学問ベースで各患者様を診て、対策を立案し、施術をしていく”一連の質”で勝負をしていることを、この記事を通してご理解頂く一助になれば幸いです。
四十肩・五十肩に関するその他の記事
四十肩・五十肩の治療と巻き肩との関係について
「我慢」 これは、投薬や手術のように薬剤やメスによって半強制的に患者様の体を変えることが出来ない当院のような院にとっては避けて通れない点です。 但し、これを患者様にも強いるのは私は違うと考えて...
「左右の肩の高さが違う」のはカバンや荷物を同じ側に掛けるせい??
☑鏡を見ると肩の高さが左右で違う。 ☑肩こりに明確な左右差がある。 ☑四十肩や五十肩を良くしたい。 ☑四十肩や五十肩になりた...
胸を張るだけでは間違い!?「巻き肩」の改善について
大前提として、「巻き肩」は胸郭出口症候群や四十肩・五十肩、親指の腱鞘炎の原因の一つになります。これらの改善と予防の為に「巻き肩を正したい方向けの記事」になります。(美容目的の施術は、開院の動機に反す...
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
08:00-12:00 | |||||||
16:00-21:00 |
- 水(第2, 4, 5)は午後休診
- 土は14:00まで
ご予約・お問い合わせはこちらから
03-3714-3855