ぎっくり背中になってしまったら
ぎっくり腰同様にぎっくり背中の定義も明確には存在しない為に、ここでは「急にズキン!と来た背中の痛み」と「目が覚めたら、もしくは段々と・・・」というケースの2つについてです。

先ず、行動に移す前にすべきこと
損傷なのか血行不良なのかの見極めによって、同じ部分が痛んでいたとしても、すべきことは全く変わってしまいます。だから、様々なアクションを起こす前にとにかく、この見極めの段階の重要性をご理解下さい。
・損傷:背中の筋肉の損傷、肋骨のヒビ。
・血行不良:筋肉のいわゆるこり(更に見極め必須なので詳細は後述)、肋間神経痛など。
・例外:帯状疱疹
「急にズキン!ときたら」損傷か肋間神経痛の可能性が高く、後者であれば数秒から数分で落ち着くハズなので見極めは専門知識がなくても比較的容易かと思います。「目が覚めた時、もしくは段々と」という場合には血行不良のケースが多いのですが、中には元々軽度の損傷、火種として燻っていた状態を前夜の入浴や飲酒、マッサージやストレッチなどによって悪化させてしまったケースもあります。前夜の行動を振り返って頂くことで大方の見極めは可能でしょう。因みに、私は問診での時系列や状況確認に加えて、触診で熱感、以下に述べる内容を踏まえて総合的に判断します。
損傷だった時にすべきこと
先ず、安静です。フローリングなどで仰向けになって数分~数十分間、安静に出来るとだいぶ変わります。そして、冷やす(温めないこと)こと。これは経験則なうえに、矛盾を承知で言うと肋骨(あばら)のヒビ以外は「安静にし過ぎないこと」も長期化しない為には極めて重要です。「痛くても出社している」「痛くても家事をしている」人の方が数日で落ち着くことは多く、自宅で完全に静養している人の方が長期戦になる傾向にはあります。稀に混同されている場合がありますが、損傷を体の外から施術などで治すことは超能力者でない限りは不可能です。そういうケースは経験としてもありますが、「そもそも損傷だとしていた見立てが間違っていたから、その場で結果に繋がっただけ」で、損傷は皮膚の下で起こっている擦り傷や切り傷みたいなもの「損傷」なので、エクササイズやストレッチ、施術で何とかしようと試みない方が賢明です。但し、傷口に掛かる力を減らすような(傷口が近付くような)ことを施術では提供することが出来ます。
血行不良ならばすべきこと
これは入浴で温めたり、カイロを貼ったり、耐え得る範囲で有酸素運動をすることが有効です。ここであまり知られていないけど大事なことを述べます。筋肉には「短縮固定」「伸長固定」という(分野や文献によって表現は若干異なる)概念があります。短縮固定状態の筋肉を対象にストレッチやマッサージ、筋膜リリースは質と相応の効果の差はあれど間違いではないです。でも、伸長固定状態の筋肉にそれをしていたら自覚の有無は別にして悪化させている可能性があります。なぜなら、既に伸びている、筋肉が本来持ち得ている張力を発揮できない状態、弱っている状態を更に伸ばして、軟らかくして、負荷を掛けてどうする・・・といった意味合いからです。つまり、改善させたくて行うとしたらそれは無駄です。理由は知りませんが、この概念は自分で掘り下げないと探し当てられないので身体を対象に仕事をしている人でも未だにあまり知られていないのでご注意下さい。
自分の筋肉に手を施して良いかを知る方法
「背中 筋肉 画像」で検索して自分の痛みのある所にどのような筋肉があるのかを視覚的に見てとりあえず名前を特定します。例えば、それが『広背筋』だとしたら「広背筋 起始 停止 画像」検索して、どこの骨からどこの骨に広背筋が存在しているのか視覚的に理解します。自分の体を鏡で見て、ご自分の広背筋が反対側と比べて「伸びているのか」、「縮んでいるのか」を視覚的に判断します。分からない方は、ご家族に広背筋があるであろう両者の骨の間をテープで結ぶように添付してもらうか、水性マジックで皮膚に書いて(繋いで)頂けば視覚的に一発で分かると思います。反対側と比べて視覚的に伸びていたら「そちら側の広背筋には何もするな!」、縮んでいたら「とりあえずやってみても良いのでは?」とご判断下さい。注意点は、あくまでも視覚的に判断することです。リラックス目的では無いので「こっているから」「張っているから」または、「押すと痛いから」という自覚とは折り合いをつけて頂く方が賢明です。
でも、木を見て森を見ずでは対症療法に過ぎない
時間や労力は有限なので、症状をどのように捉えるかはご本人の自由です。その場を乗り切ることに価値を感じる人もいて良いし、二度と繰り返したくないということも含めて価値を感じられる方も同様です。但し、私は仕事なので言うまでもなく、後者の方をカバーすることが出来ます。前項の広背筋という筋肉だけを見て「伸びている」「縮んでいる」と判断しても、それはそこだけを見ているに過ぎません。広背筋は骨盤や腰→二の腕に存在している筋肉です。例えば、ウエストが低いから伸びているのか、肩が上がっているから伸びているのか、もしかしたら反対側が縮んでいることが問題なのか、じゃあそれははなぜ?と掘り下げていく必要があります。それをご自分でやるのは骨格や筋肉、神経をカバー出来ていないと不可能なので詳しくはここで述べることはできませんが、そういうことが私の仕事の”1つ”になります。
ぎっくり背中に限らないけど伝えたいこと
例えば、伸長固定か短縮固定かの判断も、私であれば静止状態を診て、動作時の状態を診て、うつ伏せで診て、場合によっては仰向けで診て、触れて、動かして、筋力を確認して・・・と状況を変えて間違いがないように探したうえで決定します。理由はそれだけ、この段階が(将来を含めて)結果を左右するうえで重要だと2003年からの経験で夢に見る程に知っているからです。でも、そこをスルーして次の段階に着目している方が圧倒的多数だと感じます。それで意図した結果に至らないのは不運でも特例だからでもないと個人的には思っています。重複しますが、最も重要なのは見極めです。理由は選択した方法によって体は良くも悪くも変わってしまうからです。短期戦でサッと終わらせるのか、長期戦に持ち込むのか、それはこの段階の判断で決まります。ぜひ、その点を頭の片隅に入れておいて頂けたら、いつかお役に立つ日があるかもしれないと思っています。
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