腰痛とコルセット
腰痛歴の長い方、ぎっくり腰を繰り返している方の中には腰のコルセットを常用している方もいます。
当院では、コルセットはあくまでも常用するものではなく一時的に使用するものと考えています。
もちろん、年齢、お仕事を含めた腰の酷使状況に応じて、一概には言う事は出来ません。
しかし、30代から60代位で常用されている方は少し、見直してみる必要があると考えます。
この記事はおよそ2分位で読み終える事が出来ます。
腰痛にコルセットはなぜ楽になるのか
当然ではありますが、あなたの体だけで日常生活を行えるのが本来のあるべき姿です。
コルセットを「使わなければ」生活に支障が出てしまうようでは、そもそも問題です。
本来,お腹に力が入った「うえで」多くの動作が行われています。
腹圧を高めると腰骨を前後左右からサポートする事が出来ます。
コルセットに頼らなくても「自然と」出来ている方が大半ですし、今現在コルセットを常用せずにはいられない方も同様だったはずです。
ぎっくり腰などで身動きが取れない。
寝返りも痛くて大変。
コルセットを着けると「腹圧」が上がります。
コルセットを着けることで、お腹に力が入りやすくなる為、様々な動きが無理なく行いやすくなります。
従って、コルセットを着けると多くの場合、「楽になるハズ」なのです。
ですが冒頭にも書いたように、コルセットを使うのは一時的であるべきだと考えます。
理由は、「廃用性萎縮(はいようせいいしゅく)」を避ける為です。
廃用性萎縮とは、使わない筋肉が廃れ萎縮していくという意味です。
コルセットが本来の筋肉の役割を奪ってしまうことにより筋肉の必要性が無くなります。
結果、筋肉が廃れ萎縮してしまうからです。
コルセットは就寝時も着けた方が良いのか?
傷んでいる腰痛の場合にも、大半が「横になっていれば」痛みは軽減されます。
そういった場合には、就寝時のコルセットは必要ないと考えます。
(ずっと仰向けに寝る方は良いと思いますが)寝返りの際には骨盤と腰の凹凸によりコルセットがズレてしまいます。
つまり、あまり意味をなさない場面が多いのです。
しかしながら、寝返りが痛い場合には「期間限定」で就寝時にコルセットを着ける事は構わないと考えます。
また、多くの方が該当されるであろう「起き上がる際の腰痛」の場合には起き上がる直前に横になった状態でコルセットを巻くと起き上がる際の腰痛が少なくて済みます。
就寝時にはコルセットを着けず、起き上がる前に着ける。
これは、「傷めてしまった腰痛」の際にはお勧めできます。
コルセットの種類
先程も軽く述べましたが、腰には「くびれ」があります。
従って、コルセットを着けたとはいえ「完全な固定」は不可能であることをご理解下さい。
また、コルセットにも「骨盤部分に限定的に巻くもの」や「骨盤から腰にかけてより幅広く巻けるもの」があります。
全ての商品をチェックした訳でありませんが、多くの場合に骨盤に限定的に巻くものは、ゴム製で出来ています。
骨盤から腰に掛けて幅広く巻くものは、メッシュようなの素材で出来ており、幅も大きく異なるので用途に合わせて選択する事が必要です。
コルセットの着け方・巻き方
前項で「用途に合わせて」と書きましたが、実はここが一番重要です。
着け方の説明の前に腰の解剖・構造をご理解頂く必要があります。
名称などは覚える必要はありませんので、理解して頂くことをお勧め致します。
通常、傷めてしまったことによる腰痛の場合には
・仙腸関節(骨盤の腸骨と仙骨という骨の間)
・腰仙関節(仙骨と腰椎という骨の間)
・腰椎(腰椎5個それぞれの骨の間)
これらの部分の損傷が考えられます。
もちろん、筋肉を傷める場合もありますが、傷めてしまう可能性のある筋肉はこれらの骨に起始・停止といって付着している事が多い為、これらの部分の動きを制限する必要があります。
傷めている部分、制限したい部分によって「巻く高さ」には多少の差が生じます。
なぜなら、仙腸関節と一番上位にある腰椎では、全く存在している高さが異なるからです。
専門家の判断後にコルセットを着けるのが理想ではありますが、ご自身で判断される場合には「最もしっくりくる高さ」に巻いて下さい。
また、巻き方に関しては「くびれ」を意識する事が大切です。
綺麗な円柱状のものに巻くのではなく、凹凸のあるものに巻くので水平に巻こうとしてもフィット感が得られません。
コルセットを抑える、巻く際にはやや斜め下方に向かって止めて頂くと良いと考えます。
また、立ったり座ったりでズレてしまう事はよくあります。
面倒ですが、ズレてしまってはせっかく着けたコルセットの効果は半減してしまいます。
早く良くする為には面倒くさがらず、小まめに調節しましょう。
腰痛の際にコルセットを外していく流れ
「一時的」にコルセットを着ける事は、時と場合によっては必要です。
しかし、上記に述べた様に「常用」する場合にはよく考える必要があります。
当院で常用も考慮しなくてはならない例としては
年齢もご高齢で、患っている期間も長く改善よりも現状維持が目標である場合です。
現実的な話をすると「手遅れ」という状態は確実にあります。
では、悪くなっていくのをただ待つだけなのか・・・というとそんな事はありません。
【これ以上悪くしない】ことは目指すことは出来ます。
専門的に診たら【良くはなっていない】けど【あなたの自覚が楽になる】ことはあります。
☆腰痛になったらコルセットをつける。
☆改善に応じてコルセットを外す。
これが大切です。
いきなり、外して全ての生活をする必要はありません。
徐々に外していく時間を作る事が大切だと考えます。
※あくまでも、自己判断ではなく専門家の判断を踏まえたうえで、コルセットの常時着用の有無をご判断下さい。
高価なコルセットと安価なコルセットの違い
コルセットも高いものから安いものまで実に多くあります。
もちろん、どれも良いものです。
コルセット選びの際に考えて頂きたいのが、
【あなたの腰痛はコルセットを長くつけていく必要があるのかどうか】
です。
一時的につけるだけであれば、私自身の腰痛での経験上ですが100均で売っているものでも十分に事が足りる場合もあります。
※コルセット自体の幅、サイズなども大切です。
もちろん、背骨の骨折などでオーダーメイドでコルセットが必要な場合もあります。
あなたの腰痛の原因に応じて、どのコルセットが良いかを判断する必要があります。
基本的には、【コルセットが治してくれる訳ではない】という事を念頭に置いておく必要があると思います。
そもそもの腰痛の原因を治療によって正すことが、将来を見据えた際には一番重要だと考えます。
痛みが無くなれば、恐怖心が無くなれば、コルセットを外す事に抵抗は無くなります。
今現在は「コルセットがないと不安」「コルセットがないと痛い」という場合は、その状態を打破する為に、治療を受ける事をお勧めします。
腰痛に関するその他の記事

産前・産後の骨盤矯正と逆子(Webster Technique)について
産道との関係から骨盤のコンディションは妊娠中の方やこれから妊娠される可能性がある方、逆子の場合(Webster Technique)に非常に重要です。 また、産後の骨盤のコンディションは次回の妊娠・...

股関節の詰まり感・痛み・違和感について(変形性股関節症含む)
「股関節の炎症なので湿布を貼って安静にして下さい」 11歳の時の私は、土曜日の練習以降歩くのも痛かったのですが翌日もサッカーの練習に参加。 全力で走った際に「股関節がガクッと抜ける感じ」で歩け...

ぎっくり腰(急性腰痛)の最適な対処法とその後について
✅物を持った際にギグっとなった。 ✅しゃがんだ際にズキンっときた。 ✅くしゃみをした際にギグっときた。 のように、”傷めた瞬間が分かる”腰痛を(一般的に...

診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
08:00-12:00 | |||||||
16:00-21:00 |
- 水(第2, 4, 5)は午後休診
- 土は14:00まで
ご予約・お問い合わせはこちらから
03-3714-3855